2020年8月19日

私の母親はことわざをよく口にしていましたので、勉強嫌いの私もいつのまにか覚えてしまうぐらいのことでした、その中でも今、特に思い出すのが、
「上見て働け下見て暮らせ」
と言うことわざで、酷く貧しい家庭に生まれた母親らしい言葉なのか、私への戒めなのか
多分どちらもあったと思います。

えてして人間はこのことわざと逆に、苦労を避けて華美な生活に憧れて失敗することが多い気がします。
「下見て働け上見て暮らせ」
これでは贅沢な怠け者の勧めになりますよね?

母親は六十四歳で亡くなりましたけど
苦労多い人生だったと思います。

八人兄弟姉妹の一番上で、自分と下の兄弟姉妹は父親の違う、まさに貧乏人の子沢山を絵に描いたような生活でまだ小さいうちから、下の子の子守をしながら、家の用事や勉強をしていたらしく、まるでおしんか?二宮尊徳か?
想像もつきませんが、それでも生前何一つ当時の愚痴を聞いたこともありませんでした。

一つだけ覚えているのが、高校受験に先生の勧めで市岡商業を受けたらしいのですが、
不合格になり、先生に報告するとお前が落ちるはずが無いと先方に、理由を聞きに行ったらしく、
試験自体は合格でしたが、あまりに貧しい身なりで三年間通えないと判断したと言われたようで、今なら訴訟沙汰でしょうが、淡々と話していましたので、最初から進学どころの騒ぎで無いことは理解していたのでしょう。

その後、祖父の経営する会社に入り、父親と出会う訳ですが、僅かな給料の大半を家に入れ、少しずつ貯めたお金で株式投資に回して、両親と兄弟に一軒家をプレゼントしました。
のちに二人は結婚して、お金の苦労は少しマシになったはずですが、
慎ましい暮らしは生涯変わることはありませんでした、趣味は小銭で楽しむパチンコとショートホープ、たまのモーニングコーヒー、アンパンに揚げおかき、酒粕の焼いたやつ
くらいでしょうか?

最後はやめられなかったタバコとストレスで癌になり、大幅に手遅れの手術で苦しみのなか息を引き取って行きました。
最近よく思い出すようになって
「後悔先に立たず」や「親孝行したい時分に親はなし」のことわざに身悶えしております。